昆虫食【★】

近年、新たな食の選択肢として着実にその地位を高めているのが「昆虫食」です。

そもそも、畜産というのはとてもリソースを費やすものなのですよ。

羊飼いは大量の羊を飢えさせない為にもあちこちを巡らざるを得ませんでした。

また、牛肉1kgを生産するのに必要な穀物は10kgと言われています。

もし全ての人類が菜食主義になると、食糧難は今すぐにでも解決するとか！

しかし、頭では理解出来ますが中々難しい事です。

何故なら、動物の栄養というのは人が健康である為に必要だからなのですよ。特に、ビタミンB12は肉や魚に多く含まれていますからね。

それに、動物由来の物は美味しいですからね。肉食がメインストリームでなかった日本でも、かつおのダシで野菜に動物性の味を染み込ませるという食文化があるんですから。

我々の肉への渇望はゾンビになる前から起きているのです。

▲これはゾンビか人間か？

「肉はコスパが悪いとしても、栄養もあるし美味しいし辞められないよ……」

そんな悩みを解決してくれるのが昆虫食です。

まず特筆したいのはその生産性の高さですね。

虫ってめちゃくちゃ増えるんですよ。例えば、とあるハエ育成キットを利用すると、わずか1gの卵から最終的に2.4kgのうじ虫くんが採れるみたいです。

そして食べたものを体の一部とする変換効率も高い。なんでも恒温動物のそれが1-3%なのに比べて40%はあるのだとか。

また味もそう悪くなく、食べる物を選べばむしろ美味しいらしいです。

日本でもイナゴの佃煮などが食文化として根付いていますしね。特に「はちのこ」は「ウナギの白焼きのよう」とも言われる味わいで、なんとも珍味なのだとか。

栄養もタンパク質を中心にビタミン、ミネラルなどが豊富で、生きて行くのにそれさえ摂取していればいい、いわゆる一つの「完全食品」だ、と見る人も居ます。

「生産の効率が良い」「すごく増えやがる」「味が良い種類もある」「栄養が豊富」……。

そんな優れた性質が買われて、なんとカイコやバッタを宇宙食にする計画まであるのだとか。凄いぞ、虫！

現状における昆虫食の大まかなデメリットは2点ほど。

「心理的な障壁が大きい」、「大量生産する目処が立っていない」というものです。

しかし、これは現状大した事がないデメリットだと自分は考えています。

心理的な障壁に関しては、時代が変わり行くにつれて自然と外れていくでしょうし。欧米では魚を生で食べるなんて言語道断の行いでしたが、今では皆気にせずパクパク食べていますからね。

「大量生産する目処が立っていない」

これについては非常に多岐に渡る問題があるのです。いくら昆虫食が優れているとはいえ穀物を消費して育てるものですからね。畜産業者とのパイの奪い合いも発生するでしょうし、それで我々が食べる分の穀物が無くなれば本末転倒です。

心理的な障壁もこちらの問題に関わって来ますね。今のところ食用昆虫が売れるとは思えませんし。

▲え、虫に食べさせるのか！？

しかし個人で始める分にはそんな事情は一切関係ありません。

昆虫食の猛者になると、川原に携帯コンロを持ち込み、箸でバッタを捕まえては天ぷらのコロモに浸してその場で揚げて食べちゃうとか！

熟練すればそれくらいカジュアルに虫が食べられるのです。大量生産の事など考えるまでもないですね。

メリットは多く、デメリットは無いようなもの。では何故、昆虫食の評価は【★】なのか？

それはゾンビ終末が起こってからの事を考えれば分かります。

まず、ゾンビ終末が始まるとどうしても死体が出てきちゃいますね。

また、無人の家が多く出てくるという事も考えられるので、冷蔵庫、キッチンの鍋の中、テーブルの上のものなど本来近いうちに消費するはずだった食べ物が放置されます。

腐った後も片付ける人はいません！

そんな環境になるとゴキブリやハエなどスカベンジャーが沢山湧いてくると想像出来ます。

その虫は何を食べ、どこを通ったか分かりませんよ！

もしもその虫がゾンビの肉を食べ、虫の養殖場に潜り込み、その虫を我々が食べたら？

▲お腹を壊すんじゃない？

そう、終末においてはお腹を壊しても駆け込む病院はありません。

正体の分からない物を食べるなら、もっと安心できる選択肢を最初から用意しておくべきですね。終末の食事においては慎重になりすぎる事はありません。

また虫のメインフィールドは野外。ゾンビ終末においては野外での無闇な活動は良くありません。バッタなどを追いかけているつもりが、ゾンビに追いかけられていた……なんて事にはなりたくないですよね。

養殖は危険。捕獲も危険。終末に昆虫食は良くありませんね。

しかし、知識は付けておいて困る事はありません。サバイバル生活において、もしかしたら食べる物にも困る時が来るかもしれません。

そんな時は「そういえば虫って食べられるんだナァ……」なんて事を思い出してください！

少なくとも飢えて死ぬ事は避けられますからね。

▲あっ、虫入ってるよ！昆虫食だ！

日々の恵みに感謝して。良い終末を！